芸能

日本と海外の 警察&メディア を通して考える「人の命」の扱い方

海外の自死報道
私が先日書かせていただきました 「海外著名人の自死」からみる日本の警察&メディアの問題点という記事がプチ炎上になっているようで、拡散やコメントをしていただいた方々、本当にありがとうございます。
元は、私の記事をシェアして下さったこの方のツイから始まりました。(「スター」さんと呼ばせていただきます)「スター」さん、ありがとうございます。
説明責任を追及するツイを批難する人へ1
ただですね、私は「公式発表しないこと」だけが「日本の警察の怠慢」と言ってるのではありません。「捜査も十分な時間をかけず、司法解剖や薬毒物検査もしないで、最速で自死断定をしてること」を「日本の警察の怠慢」と言ってるのです。
「説明責任を追及するツイを批難する人へ」という文が入っていたことから、「説明責任を追及するツイを批難している人達」が即反応されたようです。
この「スター」さんへ届いた様々なリプを読ませていただいて、すごく勘違いされている方々が多いと感じたので、私からのお返事として書かせていただきます。
「人の命」より情報クレクレ

説明責任を追及するツイを批難する人へ4
うーん、この方は、私が意図していることをまったく理解されていないですね。とても残念です。
まず、私が語っている日本の警察とメディアの「人の命」の扱い方は、「スター」さんが仰っている通り、春馬さんをはじめとした芸能人だけではなく、国民一人一人の問題なんですよね。なので、なにも「春馬さんについての情報をクレクレ」とおねだりしてるような、自己中心的、かつ視野狭窄的な考えで海外の警察&メディアのことを取り上げたのではありません。
病死以外で人が亡くなり、自殺なのか、事故なのか、他殺なのか…が不明な「不審死」だった場合、「警察はどのような捜査を行い、どのような検証をして断定するのか」そして、「メディアはどのように報じているのか」その違いを理解していただきたく、取り上げました。
日本の警察&メディアは…

・短時間の捜査で、検視や薬毒物検査もせず断定
・「何を捜査し、どのような検査をし、なぜ自死と判断したのか?」を非公開
・「三田署」と所轄が発表されるだけで、責任の所在が曖昧
・初動捜査段階の警察からの中途半端な情報を報道して終了
・報道内容がバラバラ
・捜査してない週刊誌が、遺書ではなかったのに「遺書公開」と作り話
・「関係者」や「友人」と記するだけで、信憑性が不確かな報道

海外(アメリカ・イギリス)の警察&メディアは…

・捜査に時間をかけ、司法解剖や薬毒物検査までして断定
・「何を捜査し、どのような検査をし、なぜ自死と判断したのか?」をキチンと記者会見で説明
・担当した警察官や検視官など個人名が発表され、責任の所在が明白
・警察発表の通り、各メディア統一性のある正確な内容で報道
・「関係者」
や「友人」ではなく、実名で「誰が、何を語っているのか」をキチンと掲載
はて?
日本と海外、どちらが「人の命」を軽視しているんでしょう?
本当に「人の命」を大切に扱っているのだとしたら、竹内結子さんの時のように、「警視庁本庁が動いて最速で自殺断定」なんてことはありえないですよね。
20201014 竹内結子さん 警視庁本庁動いた「最速で自殺断定」の背景2
日本のような断定の仕方をしていたら、中には殺人事件の見逃しに繋がっている可能性だってあるのではないでしょうか?
そして、この方が貼っているのは、「俳優ロビン・ウィリアムズさんの死後、後追い自殺が増加=米研究」という著名人のウェルテル効果を報じている記事ですが、そもそも私が問題にしているのは、「自死」と断定される前の段階のことが主なのです。断定後のことだけではありません。
この記事は…
説明責任を追及するツイを批難する人へ6
説明責任を追及するツイを批難する人へ6-1

・ロビン・ウィリアムズさんの死後、米国における自殺率が約10%上昇
・特に、男性でその傾向がみられ、ウィリアムズさんのように首をつって死亡する例が増えた
・30-44歳の男性の自殺は12.9%増え、首つりによる自殺は32%増えた
・1994年にロックバンド「ニルバーナ」のカート・コバーンさんが自殺した後、地元シアトルでの自殺率にほとんど影響しなかったが、これは報道が限定的だったため

…と報じていますが、この調査&研究には【バイアス】がかかっているような気がします。
なぜなら、同じウィリアムズさんを「被験者」にして、「違う状況(報道が限定的か否か)」を調査&研究したわけではないからです。
つまり、ウェルテル効果というのは、著名人の自死を詳細に報道するから起こるのか、それとも、「自死した」と報道しただけで起こってしまうものなのか…は分かりませんよね?
月刊誌『創』には、「春馬さんの詳細が不明だからこそモヤモヤが募り、『本当に自死だったのか?そうでなかったとしたら、春馬さんの無念さはいくばかりのものか』と想像して、さらに落ち込まれている方々の嘆きが溢れています。
上の科学雑誌「PLOS One」に掲載された研究では、ウィリアムズさんとロックバンド「ニルバーナ」のカート・コバーンさんを比較していますが、違う人と比較してもあまり意味がない…というか、正確な結果は得られないのでは?と私は思います。
私がこんなブログを書いているのも、亡くなったのが三浦春馬さんだったから。申し訳ないですが、他の方だったら、ここまでの感情にはなってなかったでしょう。それと同じで、カート・コバーンさんに影響された人が少なかったのは、「報道が限定的だったから」ではなく、ただ単に「カート・コバーンさんだったから」という可能性もあるのでは?
自死遺族への二次被害

説明責任を追及するツイを批難する人へ3
うーん、この方も、私が意図していることをまったく理解されていないなぁ。。私が言いたいのは、「自死遺族」と断定される前の段階を含めてのことなんですよ。アメリカ・イギリスの警察は、本当に自死なのか…を徹底的に調べてるってことを説明しているのです。
この方の仰るような「自死遺族に対する二次被害」を本当に考慮するなら、著名人の場合、「記者会見で詳細を報道するか否か」ではなく、もう「自死である」と報道してしまった段階でアウトではないですか?「自死である」と報道した段階で、「自死遺族」と世間は認識してしまうのですから。
「自死遺族からは『自殺に対する誤解や偏見の軽減と遺族等の心情やプライバシーを十分に配慮した対応』が求められている」と仰ってますが、私には「何が警察の公式発表なのか」も不明で、統一性がない内容で報じ、更には作り話までしてもまかり通っている日本の警察とメディアの現状の方が、よっぽど問題があると感じます。
この方が貼って下さっている論文の「自死遺族に対する警察の事情聴取」という部分が非常に気になりました。
自死遺族に対する警察の事情聴取
この資料には、「自死者と遺族への尊厳が損なわれるような対応をする警察の検視や事情聴取に、遺族の24.6%が不満を持っている」というような内容が書かれています。 不審死があって、真っ先に疑われるのは遺族なので、遺族が事情聴取されてしまうことは仕方ないですが、それでも「4時間半の警察署での拘束」や「十数回にも渡る警察への連行」、さらに「証拠がないのに『お前が殺した』との暴言」などは、私が知らなかった日本の警察の問題です。
日本のモラルルールに従うべき

説明責任を追及するツイを批難する人へ2
この方は「海外ではなく日本に住まう以上、日本のモラルルールに従うべきでは?」と仰り、厚労省のマニュアルの一読を薦められています。
あらら。。この方も、勘違いしているなぁ。。「人の命」の扱い方に、「日本だから」とか「海外だから」とかありますか?
「人の命」は大切なもの。だからこそ、簡単な捜査で断定してはならない。いい加減な内容で報じてはならない。それは、全世界で共通することと私は思います。
この方が貼って下さっている厚生労働省の資料の中に、興味深いことが書かれていました。
説明責任を追及するツイを批難する人へ7-1
説明責任を追及するツイを批難する人へ7-2
「誤解と事実」という内容なのですが、実際の自殺者は、こんな感じだそうです。
・普通前もって何らかのサインを発している
・殆どはその意図を前もってはっきりと打ち明けている
・大多数は予防が可能
・自殺について質問すると不安感が和らいで安心し、理解されたと感じる
私はてっきり「自殺について本人に質問するのはタブー」と想像していたのですが…違うのですね。逆なんですね!これには驚きました。
そうであるなら、『創』の篠田博之編集長が記しているように、春馬さんの人権的配慮は当然のこととして、「死に至る前に何とかならなかったのか」「死を悼むとはどういうことなのか」を、皆で考え、「ひとつの社会現象として議論すべき」ではないか…と私も思います。
20200831 創「いまだに衝撃が収まらぬ三浦春馬さんの死を私たちはどう受け止めるべきなのだろうか」7
20200831 創「いまだに衝撃が収まらぬ三浦春馬さんの死を私たちはどう受け止めるべきなのだろうか」8
20200906 創「三浦春馬さんの死への社会的関心の驚くべき大きさと事務所が新たに公表した情報について」6-1
「死」や「自死」について語るのをタブー視するような社会背景が、更に本人を苦しめてしまう。精神疾患や発達障害は、どうしても社会的に「負のイメージ」があるため、その兆候や症状に苦しめられていたとしても、なかなか専門家を訪ねることができない状況と似てるような気がします。
「死にたくなってしまう気持ちは変じゃない」
「鬱っぽくなるなんて、誰にでもあること」
「頑張らないで、逃げたっていい」
こんな風に感じるような社会にしていくためには、「いのちの電話」の情報を自死報道の最後に「とりあえず流しておけばいい」といったメディアの姿勢では実現されないでしょう。
そもそも「いのちの電話」は、「かけてもつながらない」というのですから、呆れたものです。
『いのちの電話』の実態
スタッフは、専門家でなくボランティア。人員だけでなく、民間主体なので、厚生労働省の自殺対策補助金も足りないのが実態だそうです。
『いのちの電話』の実態1
相談窓口も、「いのちの電話 ナビダイヤル」「こころの健康相談統一ダイヤル」「よりそいホットライン」とあり、受付時間も都道府県によって異なるといいます。な~んか複雑そうですね。
『いのちの電話』の実態2
「死にたい」という衝動と闘っている人達が、いちいち居住地域の電話番号を調べ、受付時間をチェックし、ようやくかけたと思ったのに繋がらないなんて!ヒドイですよね?
因みに…私が住んでいる国は、国内どこからかけても電話番号は一つだけ。受付時間は24時間365日。スタッフは、皆、関連した学歴を持ち、特別な訓練を受けた専門家のみ。言語も英語だけでなく、色々な言語にも対応しています。「かけてもつながらない」なんて問題は、聞いたことがありません。
どうやら日本は、警察やメディアだけでなく、自殺予防対策である「いのちの電話」でさえ問題がありあり。機能してないですね。
著名人とか関係なく、日本は、本気で「人の命」を大切に考えているとは「私には」みえません。「だからこそ、変わらなければならない!」と声を上げているのです。

Source: 三浦春馬 Haruma Miura -魂の叫び-